筋トレを始めると、たびたび耳にするであろう「レップ数」という言葉。レップ数を理解し、使いこなすことでボディメイクが効率化するので、その本質を理解する必要があります。
今回の記事で下記のポイントが理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。
- そもそもレップ数とは何なのか
- レップ数を決める時に何を考慮すれば良いのか
- 目的ごとでどんなレップ数に調整すれば良いのか
- 様々なレップ数のトレーニング手法はどんなものがあるのか
目次
筋トレでよく聞くレップ数とは
筋トレでは「レップ数」という言葉がよく言われますが、これはrepetitionを略したrepのことで回数を意味します。
ベンチプレスでいうバーを下ろして上げるまでの一往復で1レップとカウントします。レップ数は適当に決めるのではなく、目的に応じて様々なポイントを考慮した上で決めていきます。
次からはレップ数を決める上ではどのようなポイントに着目すべきかを説明していきます。
レップ数を決める上で考慮すべきポイント
筋トレでは対象の筋肉をいかに追い込むかが成長の鍵です。例えば、とりあえず10回やるというルールにした場合、「30kgは10回できたけど軽すぎた」「50kgでは7回しかできなかった」ということが起こりえます。
このようにただレップ数を決めただけでは最適な筋トレにはならず、様々なことを考慮した上でレップ数を決定する必要があるのです。
レップ数を決定する上で考慮すべきポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- RM
- ボリューム(総負荷)
- セット数
- インターバル
- 速筋と遅筋
①RM
目的 | 1RM | 推定反復回数 |
筋力アップ | 100% | 1 |
95% | 2 | |
93% | 3 | |
90% | 4 | |
87% | 5 | |
筋肥大および筋力アップ | 85% | 6 |
83% | 7 | |
80% | 8 | |
77% | 9 | |
75% | 10 | |
70% | 12 | |
67% | 15 | |
筋持久力 | 65% | 18 |
60% | 20 | |
-60% | 20- |
RMとはrepetition maximumの略称で、ある重量に対して何回反復できるのかを表す指標です。1回しか行えない重量を1RM、6回が限界だと6RMという表し方です。
RMを活用することで、「今の1RMが100kgだから、10RMは75kg。75kg×10回の3セットでメニューを組もう」というように適切な重量選択をできるようになります。
②ボリューム(総負荷)
セット数や週のトレーニング頻度、重量などを考慮した筋肥大の指標がボリュームです。これは各部位の各種目における重量×レップ数×セット数の総和です。
例えば、100kg×10レップ×1セットだと1000kg、50kg×10レップ×3セットだと1500kgというように表します。ただしこの考え方では、10kg×100レップ×1セットと100kg×10レップ×1セットのボリュームが同じとなり、「筋肥大効果は本当に等しいのか?」という疑問がわきます。
しかし、筋肥大はある程度高重量で限界まで追い込んだ時に起こるものであるため、あまりに軽すぎると筋肥大効果はほとんどないと考えられます。
そのため、基本的には5−12RM程度の重量とレップ数に設定し、予定通りにオールアウトできればよし、できなければセット数を増やすか、種目数を増やすかなどしてボリュームを稼ぐという方法があります。
③セット数
先述の通り、セット数はレップ数、ボリュームに密接に関わっています。例えばレップ数が低くボリュームが稼げていないのでセット数を増やすといったイメージです。
1日あたりのセット数は多くのトレーニーが10−15セット前後で組んでおり、各種目3セットとすると3−5種目となります。
初心者の場合は各部位1−3種目を3セットずつ、中級者以上になると各部位4種目以上、3セット以上で組むこともあります。
後述しますが基本は各種目3セットで組むようにし、負荷に慣れてきたら「重量を上げる、セット数を増やす、種目数を増やす、レップ数を増やす」などしてボリュームを上げていきましょう。
④インターバル
目的 | インターバル |
筋力アップ | 2−5分 |
筋肥大 | 30−90秒 |
筋持久力 | 30秒以下 |
レップ数を考慮する上ではインターバル(休憩時間)も重要です。インターバルは目的によって調整するのが一般的です。
例えば筋持久力向上を目的とするなら30秒以下、筋肥大を目的とするなら30−90秒、筋力アップを目的とするなら2−5分とされています。
一般的にはベンチプレスやスクワットなどを高重量で行う場合は3−5分、それ以外の種目では60−90秒のインターバルを設けて、筋力アップと筋肥大の両立を考えます。
⑤速筋と遅筋
筋肉は2種類あり、「速筋繊維」と「遅筋繊維」に分かれています。速筋は瞬発的に大きな力を発揮する筋肉、遅筋は大きな力を発揮できない分持久力に優れた筋肉です。
遺伝子による個人差はありますが、筋肉ごとでおよその割合は決まっています。例えば、速筋繊維が多い人は陸上の短距離選手、遅筋繊維が多い人は陸上の長距離選手のような身体になります。
筋トレの場合、速筋線維は高重量×低レップ、遅筋線維は低重量×高レップで鍛えると良いです。
そのため速筋線維の割合が多い部位は高重量×低レップ、遅筋繊維の割合が多い部位は低重量×高レップで鍛えるのが基本です。
主な筋肉の速筋と遅筋の割合は下記のようになっているので、ぜひ参考にしてみてください。
筋肉名 | 速筋 | 遅筋 |
大胸筋 | 57.7 | 42.3 |
広背筋 | 49.5 | 50.5 |
三角筋 | 46.7 | 53.3 |
上腕二頭筋(表面) | 57.7 | 42.3 |
上腕三頭筋 | 67.5 | 32.5 |
腹直筋 | 53.9 | 46.1 |
大殿筋 | 47.6 | 52.4 |
大腿直筋 | 65.6 | 34.4 |
内側広筋(表面) | 56.3 | 43.7 |
外側広筋(表面) | 62.2 | 37.8 |
大腿二頭筋 | 33.1 | 66.9 |
腓腹筋(側頭) | 53.5 | 46.5 |
なぜ10回×3セット、15回×3セットが一般的なのか
筋トレでは「10回×3セット」「15回×3セット」で行うのが一般的とされていますが、これには理由があります。
まず、10回や15回というレップ数ですが厳密には10RM、15RMで、後述しますが10回は筋肥大に最適とされているレップ数、15回は筋持久力アップに最適とされているレップ数です。
「15回は筋持久力以外の目的では多いのでは?」と思う方もいるでしょうが、これは初心者向けのレップ数でもあります。RMが下がるほど高負荷になるので、フォームが固まっていない初心者が行うと怪我のリスクが非常に高いです。
そのため初心者には「確実に怪我なくこなせるように」という意図で15レップを推奨しているのです。
また、3セットの理由は1−2セットだと対象の筋肉を完全に追い込むのが困難だからです。1セットのみでは対象の筋肉の全てが使われるわけでなく、疲れていない筋肉も存在します。
2セット、3セットと数を増やすことで1セット目で使われなかった筋肉も動員できるようになるため、筋肉を効率的に追い込めるとされています。
最適なレップ数は目的によって異なる
適切なレップ数は目的ごとに下記のようになっています。
目的 | 推定反復回数 |
筋力アップ | 1−5 |
筋肥大 | 6−12 |
筋持久力アップ | 15以上 |
筋力アップ
筋力アップの場合は高重量×低レップで長いインターバルを設けます。具体的には85−90%1RMで3−5回、3−5分のインターバルを3セットといったイメージです。
1−2レップはボリュームが少なくなることから、最低3回からセットを組むことを推奨します。
筋肥大
筋肥大の場合は80−70%1RM程度の重量で、6−12回程度のレップ数、60−90秒程度のインターバルを1セットで計3セットといったイメージです。
筋肥大は筋力アップほど高重量である必要はありませんが、60%1RM程度だと効果的ではありません。体感的に「ちょっと重いけど、10回ならできそう」という負荷になるよう設定しましょう。
筋持久力アップ
筋持久力アップの場合は65%1RM以下の重量で、15−30レップ、30−60秒程度のインターバルを1セットで計3セットといったイメージです。
筋肥大や筋力アップが筋トレにおいては重要なので、前者2つに比べると優先度は低いですが、時折刺激の変化を加える意味でハイレップトレーニングを加えるというのもありです。
また、「筋肥大しすぎるのは嫌だ」という女性も15レップ前後で組むのがおすすめです。
目的別の組み方
ここまでの目的別の最適なRM、レップ数、セット数、インターバルをまとめると以下のようになります。
目的 | 1RM | レップ数 | セット数 | インターバル |
筋力アップ | 80%以上 | 6回以下 | 3 | 2−5分 |
筋肥大 | 67−85% | 6−12回 | 30−90秒 | |
筋持久力アップ | 70%以下 | 15回以上 | 30秒以下 |
筋力アップは高重量×低レップでインターバルは長め、筋肥大は中重量×中レップでインターバルは少し短め、筋持久力アップは低重量×高レップでインターバルは短めとなります。
ぜひ目的に合わせて適切な強度、レップ数、インターバルを設定しましょう。
レップ数とセット数を工夫した様々なトレーニング手法
筋トレにはレップ数とセット数を工夫したトレーニング手法が数多く存在します。下記の7つのトレーニングについて概要と組み方を説明していきます。
- アセンディングセット法
- ドロップセット法
- レストポーズ法
- コンパウンドセット法
- スーパーセット法
- 5×5セット法
- 21レップ法
①アセンディングセット法
アセンディングセット法とはセットごとに徐々に重量を重くしていく手法です。セットの後半は重量の増加につれて、低レップとなるので筋肥大よりは筋力アップを目的としています。
アセンディングセットの組み方の例は以下のとおり。
- 1セット 50%RMで12レップ
- 1セット 60%RMで10レップ
- 1セット 70%RMで8レップ
- 1セット 80%RMで6レップ
- 1セット 85%RMで4レップ
この組み方はあくまで初心者から中級者向けなので、上級者はウォーミングアップを50−60%RMでやる場合、80−90%RM程度でアセンディングセットを組むのも良いでしょう。
②ドロップセット法
ドロップセット法はアセンディングセットとは対照的に重量を徐々に落としていく手法です。インターバルを少なくした上で徐々に重量を落としながら、筋肉をとにかく限界まで追い込んでいきます。
筋肉が完全に疲労するオールアウトに近づくので、筋肥大に非常に効果的です。
ドロップセット法の組み方の例は以下のとおり。
- 8−10回できる重さで8−10回行う
- 1の80%の重量で限界まで行う
- 1の60%の重量で限界まで行う
あまりに軽すぎる重量では筋肥大に効果的ではありません。
③レストポーズ法
レストポーズ法とは高重量トレーニングと短いインターバルを繰り返すトレーニング手法です。アセンディングセット法やドロップセット法では重量を変更しますが、レストポーズ法は重量を固定したまま最後まで行います。
その分、レップ数は次第に下がっていき、3回程度しか挙げられなくなったら終了という形になります。高重量で低レップのトレーニングとなるので、筋力アップに非常に効果的です。
レストポーズ法の組み方の例は以下のとおり。
- 80−90%RMの重量で7回前後行う
- 20秒のインターバルを取る
- 同じ重量で限界までこなす、4−5回程度を目指す
- 20秒のインターバルを取る
- 再度限界までこなす、2−3回程度を目指す
- 終了
④コンパウンドセット法
コンパウンドセット法とは同じ筋肉を鍛えるトレーニングを2種目連続で行うことです。たとえば、ベンチプレスとダンベルフライを連続で行うといったイメージです。
基本的には最初の種目はコンパウンド種目(複数の関節を同時に使う種目)、後の種目をアイソレーション種目(1つの関節のみを使う種目)とします。
これはコンパウンド種目がベンチプレスやスクワットのように高重量を扱える種目で全力を発揮しやすいためです。コンパウンド種目後、ダンベルフライのようなアイソレーション種目でジワジワと筋肉を追い込むことで筋肥大に非常に効果的となります。
また、3種目連続で行う場合をトライセット法、4種目以上はジャイアントセット法とも呼びます。
コンパウンドセット法の組み方の例は以下のとおり。
- コンパウンド種目で70%RM前後で10レップ前後行う
- アイソレーション種目を60−70%RM前後で10レップ前後行う
- 2分程度のインターバル
- 1−3までを合計3セットになるまで行う
週に2回同じ部位を鍛える場合、高重量の日と中重量の日と分け、コンパウンドセット法は中重量の日のメインに設定するのがおすすめです。
⑤スーパーセット法
コンパウンドセット法が同じ筋肉を連続で鍛える一方で、スーパーセット法では拮抗筋を交互に鍛えます。拮抗筋とは上腕二頭筋と上腕三頭筋のように表裏の関係にある筋肉です。
ある動きをしたときに一方が収縮し、もう一方は伸張するような関係性にあるのが特徴です。拮抗筋は対象の筋肉のブレーキ機能を担っていますが、スーパーセット法ではそのブレーキ機能が弱まることで筋肉を追い込めるのがメリットです。
スーパーセット法の組み方の例は以下のとおり。
- 大胸筋と広背筋(ベンチプレス→ベントオーバーローイング)
- 腹筋と脊柱起立筋(クランチ→バックエクステンション)
- 大腿四頭筋とハムストリングス(レッグエクステンション→レッグカール)
- 上腕二頭筋と上腕三頭筋(アームカール→トライセプスエクステンション)
⑥5×5セット法
5×5セット法は1種目を5レップ、5セットで行う手法です。主に大筋群の筋力アップ・筋肥大を目的とする時に行うものです。一般的に5×5セット方で行うメニューは、ベンチプレスやデッドリフト、スクワット、ベントオーバーローイングなどが挙げられます。
各種目の重量をできるだけ伸ばしていくことを考え、前回より+2.5kg重くするようにします。5セット目までこなせなければ重量を−2.5kg下げましょう。
スーパーセット法の組み方の例は以下のとおり。
- 5RMの重量を5レップ行う
- インターバルを3分程度とる
- 1−2を計5セット行う
ビッグ3(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)の伸びしろを確認する意味合いでも各部位週に一回は行うのが良いでしょう。
⑦21レップ法
21レップ法は1セットで7レップ・7レップ・7レップの計21レップを行う手法です。7レップを3つに区切っているのは可動域がそれぞれ異なるからです。
一般的にアームカールで行うもので、各レップでの可動域は以下のようになります。
- ボトムから肘が90度になるまで上げる動作を7レップ
- トップから肘が90度になるまで下ろす動作を7レップ
- フルレンジで7レップ
レップ数を使いこなして効率的なボディメイクを
今回はレップ数の概要やレップ数を決める上で考慮すべき指標、目的ごとの適切なレップ数などを紹介してきました。とりあえず限界まで追い込むという人もいますが、筋肥大や筋力アップを目的とする場合はそれに見合った強度やレップ数があります。
ぜひ今回紹介した方法を実践して、目的に応じてレップ数を使いこなし、ボディメイクを効率的に進めましょう。