体幹は、サッカー日本代表の長友佑都選手が著書を出したこともあり、広く注目されるようになりました。一般の方でも簡単に始められるという理由から、最近では多くの人が体幹トレーニングにチャレンジするようになっています。
しかし、「体幹トレーニングに挑戦したいけど、鍛え方が分からない」という方も多いはず。今回は、体幹の鍛え方を知りたいという方に向けて、体幹トレーニングを始めるための極意と実際のトレーニングメニューをお伝えします。
【本記事で学べること】
- そもそも体幹とは何か
- 体幹を鍛えると得られるメリット
- おすすめの体幹トレーニングメニュー
- 体幹を鍛えるときのコツ
1.体幹とは
そもそも体幹とは、名前が意味を示している通り「体の幹」のことです。つまり、体の胴体のことを指しています。ここでいう胴体とは、胸、背中、腰、腹筋、お尻などの要素のことで、これらすべてが体幹に当てはまります。
ただし、本記事を読んでくださっているあなたには、体幹についてもう少し詳しく知ってもらてからトレーニングに励んでほしいと思います。そこで、次の2点について詳しく解説していきます。
- 体幹の細かい定義
- 「体幹」と「インナーマッスル」の違い
すでに体幹トレーニングに取り組んでいる人でも知らない人が多い内容です。
これを機に、正しい知識を身につけておきましょう。
1-1.体幹の細かい定義
体幹とは、胴体部分すべてを指しているということはお伝えしました。さらに細かく定義をする場合、「腹腔」という部分を体幹と表現する場合があります。
腹腔とは、お腹の臓器が入る空間のことで、横隔膜、腹筋、骨盤底筋などに囲まれた部分を指しています。この部分は、複数の筋肉に囲まれていることに加えて、体の芯の部分です。そのため腹腔=体幹は、全身を安定させることに重要な役目を果たしています。
1-2.「体幹」と「インナーマッスル」の違い
「体幹トレーニング=インナーマッスルを鍛えるものだ」と勘違いしている人が多くいます。その考え方は間違いで、体幹とインナーマッスルには決定的な違いがあります。
体幹とは、頭と四肢を除いた胴体の部分のことで、体の場所を示す言葉です。その一方で、インナーマッスルとは、体の深い部分にある筋肉の総称のこと。このように、それぞれの言葉が意味している内容はまったく違うものです。
しかし、「体幹トレーニングでインナーマッスルを鍛えよう」という言葉を聞いて、体幹=インナーマッスルと誤解してしまったことから、間違った考え方が広まってしまったようです。体幹とインナーマッスルは別物であることを知った上で、トレーニングをしていきましょう。
2.体幹を鍛えるメリット
体幹トレーニングを始めるなら、体幹を鍛えることで得られるメリットを知っておきましょう。体幹を鍛えると、「どんな自分に生まれ変わることができるか」を想像するだけでも、トレーニングへのモチベーションが高まりますよ!
そこで今回は、体幹トレーニングがもたらす次の3つのメリットを紹介します。
- 美しい姿勢を保てるようになる
- 体が動かしやすくなる
- 太りにくい体をつくることができる
どの内容も普段の生活に密接に関係していて、嬉しいメリットばかりですよね。それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
2-1.美しい姿勢が保てるようになる
1つ目のメリットは、美しい姿勢が保てるようになること。
体幹とは、これまでに解説した通り、頭や四肢を除いた胴体部分のことです。
体の芯にあたる体幹部分を鍛えると、骨盤や背骨が強化され自然と背筋が伸びるようになります。さらに体幹トレーニングは、その美しい姿勢をキープするために必要な腹筋や背筋を鍛えることができる点も特徴です。
美しい姿勢をつくるだけでなく、その姿勢を維持するために必要な要素まで含まれているものが体幹トレーニングです。継続的に体幹を鍛えて、美しい姿勢を目指していきましょう。
2-2.体が動かしやすくなる
2つ目のメリットは、体が動かしやすくなるということ。
体幹を鍛えると、体の軸がぶれにくくなりスムーズに筋肉を動かせるようになります。逆に言えば、体幹がしっかりしていないと筋肉を効率的に動かすことができません。筋肉の動きを安定させることができれば、もちろん体の動きやすさを感じることができます。
体が動かしやすくなれば、普段の歩き方や立ち方が安定し疲れにくい体を手に入れることもできますよ。体幹を鍛えて、あなたの生活の質を向上させましょう!
2-3.太りにくい体をつくることができる
3つ目は、太りにくい体をつくることができるというメリットです。
このメリットには、体幹を鍛えることでアップする基礎代謝が大きく関係しています。
そもそも基礎代謝とは、生命活動を維持するために必要な消費エネルギーのことです。基礎代謝が上がると、脂肪が燃焼しやすくなり太りにくい体を手に入れることが期待できます。
基礎代謝で消費されるエネルギーの大部分は、筋肉の動きです。筋肉量の多い体幹部分を強化できれば、日常的に消費できるカロリーの量も自然と増えていきます。
体幹トレーニングで基礎代謝をアップし、太りにくい体を手に入れましょう。
3.体幹の鍛え方 おすすめトレーニング5選
「これから体幹を鍛え始めよう」と意気込んでいる方に向けて、厳選したおすすめの体幹トレーニングを紹介します。今回紹介するメニューは、自宅ですぐに始められるものばかりです。解説内容をよく読んで、今日から実践してみましょう。
今回紹介するおすすめの体幹トレーニング5選はこちら。
- プランク
- サイドプランク
- ツイストクランチ
- ヒップリフト
- プッシュアップ
それでは、やり方や意識するポイントまで1つずつ詳しく解説していきます!
3-1.おすすめ体幹トレーニング① プランク
1つ目のおすすめメニューは、プランクです。
うつ伏せでつま先と腕をついた姿勢を保つだけのシンプルなトレーニング。初心者でも取り組みやすい体幹トレーニングの王道メニューです。
【プランクのやり方】
- 両肘を直角に曲げた状態で腕を床につけて、うつ伏せになる。
- 床についたつま先と腕で体を支えながら、腰を浮かせて背筋を伸ばす。
- 頭からかかとまでが一直線上になるように姿勢をキープする。
30秒×3セットを目安におこなってみましょう。
頭からかかとまでの体を一直線上にキープすることがポイントです。お尻が上がったり背中が曲がったりしないように、鏡や動画で自分の姿勢を確認してみましょう。
3-2.おすすめ体幹トレーニング② サイドプランク
2つ目のメニューは、サイドプランクです。
サイドプランクはプランクの横向きバージョンで、横向きになって腕と足だけで自分の体を支えます。脇腹に刺激を与えながら、体幹を鍛えることができるトレーニングです。
【サイドプランクのやり方】
- 横向きになって肘が肩のすぐ下にくるように構える。
- 肘を立てて腕と足を床につけた状態で、上半身を持ち上げる。
- 頭から足にかけてまっすぐな姿勢を保つ。
左右各20秒×3セットを目安に頑張ってみましょう。
腰を高く持ち上げて、体のラインをまっすぐにキープすることが最も大切です。「キツくてできない」という人は膝を背中側に直角に折りたたんで床につける方法をおすすめします。
3-3.おすすめ体幹トレーニング③ ツイストクランチ
3つ目のおすすめメニューは、ツイストクランチ。
ツイストクランチは、上体をひねりながら腹筋に刺激を与えることができ、強い体幹をつくるために効果的なトレーニングです。
【ツイストクランチのやり方】
- 仰向けの状態で膝を直角に曲げて足を浮かせ、手は後頭部の後ろで構える。
- 上体をひねりながら起こし、対角線上の肘と膝を合わせる。
- ゆっくりと1の姿勢に戻る。
- 左右交互に2の動作をおこなう。
20回(左右各10回ずつ)×3セットを目安に頑張っていきましょう。
ひねりの動作を加えるときに勢いや反動を使わないようにしましょう。あくまでも腹筋のトレーニングであるため、腹筋を使って上体をひねるイメージを持つと良いですよ!
3-4.おすすめ体幹トレーニング④ ヒップリフト
4つ目のおすすめ体幹トレーニングは、ヒップリフトです。
ヒップリフトは体幹でバランスを取りながら、腰を水平方向に動かすトレーニングです。
【ヒップリフトのやり方】
- 膝を直角に立てた状態で、仰向けに寝る。
- 手は体の側面で床についておく。
- ゆっくりと床から腰を持ち上げる。
- 首から膝にかけての体が一直線上になったら、もとの体勢にもどる。
20回×3セットを目安におこなっていきましょう。
お尻を引き上げたときに肩甲骨から膝にかけての体を一直線上にキープすると、より体幹を意識したトレーニングになります。
3-5.おすすめ体幹トレーニング⑤ プッシュアップ
5つ目に紹介するトレーニングメニューは、プッシュアップ。いわゆる腕立て伏せのこと。
プッシュアップは腕の力を鍛えるだけの筋トレだと思われがちですが、正しい姿勢でおこなえば、体幹の強化にもつながります。
【プッシュアップのやり方】
- うつ伏せで肘を伸ばし、肩の真下にくるように手のひらを床につける。
- 頭から足までを一直線上にしたまま体を浮かせる。
- 肘を曲げながら体を地面にゆっくり近づける。
- 肘を伸ばして元の状態に体を上げる。
10回×3セットを目安におこないましょう。
プッシュアップを体幹強化につなげるためには、正しい姿勢で動作することが重要です。上げ下げするときには、体が棒のように一直線上になっていることを意識しましょう。
4.体幹トレーニングのコツ
体幹トレーニングは、鍛えるときのコツが存在します。
それはトレーニング方法のコツというよりも、体幹トレーニングの効果を最大限引き出すためのコツのことです。ここで紹介するコツを意識しないと、せっかく体幹トレーニングを頑張っても効果が低減してしまいますよ。
体幹トレーニングの効果を最大限に得るために、トレーニングを始める前に内容をおさえておきましょう。今回紹介するコツは次の3つです。
- 正しい姿勢でトレーニングをおこなう
- 腹筋を意識する
- 正しく呼吸をしながらトレーニングする
4-1.正しい姿勢でトレーニングをおこなう
1つ目のコツは、正しい姿勢でトレーニングをおこなうことです。
体幹トレーニングは一般的な筋トレとは違い、筋肉量の増加を期待するものではなく体の軸を安定させることが大きな目的です。腰が曲がったり、お尻が上がったりした状態でおこなうと、トレーニング効果をまったく得ることができません。そのため、通常の筋トレよりも正しい姿勢を意識する必要があります。
どの体幹トレーニングも、「体の軸を棒のように一直線上にすること」が正しい姿勢です。トレーニングをするときは、鏡で自分の姿を確認したり動画を撮影したりして、正しい姿勢で動作できているかを確認してみましょう。
4-2.腹筋を意識する
2つ目のコツはトレーニングしているときに腹筋を意識すること。
体幹トレーニングは、おもに体の中心部分を鍛えることができる運動です。そのため、体の中心に位置する腹部を意識することで、トレーニング効果を高めることができます。
トレーニング中に腹筋が硬くなっていることを感じることができれば、意識できている証拠です。
常に腹筋を意識して全身に力をうまく伝えながら、トレーニングしていきましょう。
4-3.正しく呼吸をしながらトレーニングする
3つ目のコツは正しく呼吸をしながらトレーニングすること。
体幹トレーニング初心者がやってしまいがちな鍛え方は、呼吸を止めながらトレーニングをすることです。トレーニングが辛いとつい呼吸を止めてしまいがちなんですよね。
しかし、呼吸をすると体幹が安定し逆につらい姿勢に耐えることができようになります。そのため正しい姿勢をキープすることが重要な体幹トレーニングでは、呼吸は必要不可欠な要素です。
呼吸のポイントは、ゆっくり吐いてゆっくり吸うこと。長い呼吸を心がけながらトレーニングをしていきましょう。
5.日常のエクササイズで正しく体幹トレーニングを実践してみよう!
体幹トレーニングの良さは、自宅ですぐに気軽に始められることです。
さらに言えば、長時間トレーニングに励まなくても1日5〜10分だけ日常のエクササイズとして取り入れれば、効果が得ることができます。自分のライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で体幹トレーニングを取り入れてみましょう。
最後に、体幹は「体を鍛えるという感覚」よりも、「体を整える」というイメージでトレーニングすることをおすすめします。どのメニューも1セットの回数や時間が長ければ、効果が高まるわけではありません。重要なことは、自分が正しい動作・正しい姿勢をキープできる回数や時間の中でトレーニングをすること。
日常のエクササイズで正しい体幹トレーニングを実践し、体を整えていきましょう。