「筋トレで毎回全身を鍛えているけれど、時間がかかりすぎる」このようにお考えの方におすすめしたいのが分割法です。分割法とは鍛える部位を細かく分けることで、各部位を集中して鍛えられる手法です。
今回は下記のポイントについて解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。
- 分割法とは
- 分割法の具体的な分け方
- 分割法の休みの入れ方
- 分割法を行う際の考え方
- 分割してからのメニューの組み方
目次
分割法とは
分割法とは何回かに分けて全身を鍛えるトレーニング法のことです。かつては一日で全身を鍛える全身法が主流でしたが、時間がかかりすぎる上に各部位の種目数はどうしても少なくなってしまいます。
そこで鍛える部位を絞って集中し、使わない部位は休められる分割法が生み出されました。分け方の種類は多種多様で、2分割から5分割までが一般的です。
分割法の分け方
二分割から五分割までのそれぞれ具体的な分け方について説明していきます。
二分割
全身法から分割法へ移行する時は、二分割から始めましょう。代表的な分け方は、上半身・下半身とプッシュ・プルの2つです。
上半身・下半身
二分割の定番は上半身と下半身です。文字通り、脚とそれ以外で分けるやり方もありますが、その場合は上半身のボリュームが過多になってしまいます。
そのため、背中を脚の日に入れてしまい、上半身(胸・肩・腕)、下半身(背中・脚)とするのがおすすめです。各部位1−3種目程度、肩や腕などの小筋群は他の部位のトレーニングでも使われるので、1−2種目程度が良いでしょう。
プッシュ・プル
二分割のもう一つの分け方は、プッシュとプルです。プッシュは押す系の筋肉で、胸、肩、上腕三頭筋、プルは引く系に脚を加えたもので脚・背中・上腕二頭筋です。
上半身・下半身の分け方に比べると、こちらの方が腕によリフォーカスできますが、脚・背中の種目数は減ってしまいます。
三分割
二分割では各部位の種目数が少なくなってしまい、慣れてくるとなかなか追い込めなくなってきます。そうなった時は分割を増やして三分割としましょう。
三分割の分け方は以下の2つです。
上半身の大筋群・上半身の小筋群・脚
二分割の時の上半身をさらに2つに区切るやり方です。上半身の大筋群は胸・背中、小筋群は肩・腕、そして脚となります。
各部位いずれも種目数を増やすことができますが、脚は一部位のみになってしまうので腹筋を入れるのも良いでしょう。
この組み方のデメリットは胸と背中を同時に鍛えるのがきつすぎて、両方とも追い込むのは難しいことです。その場合は次の組み方がおすすめです。
プッシュ・プル・脚
二分割のプッシュ・プルから脚をさらに分割するやり方です。プッシュ(胸・上腕三頭筋、肩)、プル(背中・上腕二頭筋)、脚と分けます。
ただし、これはプッシュにボリュームが偏りすぎるので、肩をさらに分けるというやり方もあります。分け方は様々でその一例は下記のようになります。
- 「胸・上腕三頭筋・三角筋前部」「背中・上腕二頭筋・三角筋中部」「脚・三角筋後部」
- 「胸・上腕三頭筋」「背中・上腕二頭筋」「脚・肩」
- 「胸・上腕三頭筋・三角筋前部」「背中・上腕二頭筋・三角筋後部」「脚・三角筋中部」
「脚トレはきついから他の部位は鍛えたくない」という場合はプッシュあるいはプルの日に肩を加え、「バランス良く組みたい」という場合は前部・中部・後部をバラバラで鍛えるのが良いでしょう。
四分割
三分割よりも各部位に集中したい時には、上級者向けとなる四分割がおすすめです。四分割の方法も様々ですが、代表的な分け方は下記の2つです。
- 背中、肩・上腕三頭筋、脚、胸・上腕二頭筋
- 胸・上腕二頭筋、脚、肩・上腕三頭筋、背中・腹筋
1つ目はボディビル界のレジェンド鈴木雅さんが行っていた分割法です。ボディビルダーらしく高重量中心で組むために最適化されたメニューです。
背中と脚の日を離すことで腰に負担をかけませんし、肩と胸を離し、三頭と胸を離すことでそれぞれ力がしっかり出ます。力が出せないのがいちばんイヤなので、“トレーニングをする”というノルマよりも“力が出せる”ことが条件でした。
2つ目は「筋肉博士」の異名を持つ山本義徳さんが現役時代に行っていた分割法です。
部位分けを考える際は腕をどう組むかで悩みますが、背中と上腕二頭筋、胸と上腕三頭筋を離すことで腕のトレーニングもフレッシュに取り組めるのがメリットです。
五分割
五分割はブロスピリット(Bro Split)とも呼ばれる、コンテストで上位入賞するようなトップのボディビルダーやフィジーカーが採用している分割法です。
1回のトレーニングで鍛える部位は1つで、週に5回のトレーニング、2日の休みを設けます。1部位しか鍛えないのでトレーニングが終わる時間が早く、さらに各部位によりフォーカスできるのがメリットです。
ただし、逆の見方をすれば1日に1部位しか鍛えられず、次に鍛えるのは1週間後となってしまいます。筋肉痛の回復は72時間程度とされているので、1週間後だと休みすぎとなり、筋肉痛回復後から次のトレーニングまでに筋肥大効果はなく非効率となります。
そのため1回のトレーニングで完璧に追い込める、質の高いトレーニングをできる超上級者でないと難しい分割法なのです。
分割法における休みの入れ方
各分割法において、どのように休みを入れるべきか説明していきます。
二分割
二分割ではトレーニング前後を休みとして、週3−4回行います。例えば、1週間の流れは「A→休み→B→休み→A→休み→B」となります。
超回復には24−72時間かかるとされているので、この組み方ではAもBも筋肉の回復期間が終わったタイミングで次のトレーニングとなります。
三分割
三分割では週4−6回に分けるのが妥当でしょう。組み方のバリエーションは下記のとおり。
- 週4回 A→B→休み→C→休み→A→B
- 週5回 A→B→休み→C→A→B→休み
- 週6回 A→B→C→休み→A→B→C
四分割
四分割ではどこに休みを入れるかが、考え方次第で異なります。週に3日休む場合は次のトレーニングまで6日空くことになるので、最低でも週に2回の休みがおすすめです。その考えでいくと、下記のようになります。
胸・二頭筋→脚→休み→肩・三頭→背中・腹筋→休み→胸・二頭筋
脚と背中のトレーニングが腰への負担が大きく非常にきついので、その翌日を休みとしました。この組み方だと10日ほどで各部位を2回ずつ鍛えられるので、ある程度の筋肥大効果は見込めるでしょう。
五分割
五分割は1部位を週に1回ずつとシンプルになります。人によって部位分けの順番は異なりますが、筆者のおすすめは下記の通り。
胸→休み→脚→腕→肩→背中→休み
胸のトレーニングは上腕三頭筋や肩を動員するので腕や肩と離し、背中と脚はいずれも腰に負担がかかるので離します。
分割する際の考え方
上記で分割法の具体例を紹介しましたが、慣れてきたら自身の身体に合わせて部位分けを変えていく必要があります。その際に考えるべきポイントを紹介していきます。
- 補助筋の疲労が及ばないようにする
- 必ず休みを入れる
- 腹筋も組み込む
①補助筋の疲労が及ばないようにする
大胸筋や広背筋のトレーニングでは、補助筋として上腕三頭筋や上腕二頭筋が使われています。腕の疲労が残ったまま、大胸筋や広背筋のトレーニングに臨んでしまうと補助筋が使えないことで挙上重量が下がってしまいます。
上腕二頭筋と広背筋、上腕三頭筋と大胸筋をできるだけ遠ざけるように部位分けの順番を組みましょう。
②必ず休みを入れる
分割法で行う場合でも必ずトレーニングオフ日を設けましょう。これは筋トレが筋肉の合成だけでなく、筋肉の分解にも働いているからです。
筋トレ後に傷んだ筋肉の修復は24−72時間ほどかかるとされており、たとえ分割法とはいえ毎日筋トレしてしまうと、筋肉の回復が完全に済んでいないうちにトレーニングがやってきてしまうからです。
こうなると筋肉の合成中に分解を促すことになってしまい、筋肉を増やそうと行う筋トレが逆効果をもたらしてしまいます。
少なくとも、週に1−2日は休みを設けましょう。休みを設けるタイミングは大筋群(胸、背中、脚)を鍛えた翌日がおすすめです。
③腹筋も組み込む
上記で紹介した分割法では、四分割以外は腹筋が入っていません。これは腹筋は体幹の筋肉であり、他の部位のトレーニングでも使われているからと軽視されているからでしょう。
実際、腹筋を鍛えていなくとも腹筋が割れているトレーニーは多いです。しかし、日々腹筋を鍛えている人と鍛えていない人ではシックスパックの溝の深さには雲泥の差が見られます。
筆者の見解としては、腹筋をメニューに組み込むべきと言えます。腹筋を組み込むタイミングの目安は他の部位に比べてメニューのボリュームが少なくなる日、あるいは拮抗筋である背中の脊柱起立筋を鍛える日です。
拮抗筋とはある動作が収縮した時に、もう一方の筋肉はストレッチするという逆の動きをする筋肉です。
拮抗筋は主働筋のブレーキ機能がありますが、疲弊しているとその機能が弱まるため1回のトレーニングで拮抗筋を鍛えることでより収縮度が増し、追い込めるようになります。
分割してからのメニューの組み方
実際にどのように分割するかを決めたら、各部位ごとのメニューを決めていきます。その際に意識すべきポイントは下記の2つです。
各部位の種目数は3−4つ
分割法での各部位での種目数は、筋トレ中級者以上の場合3−4つがおすすめです。各部位の1週間のセット数の目安は10−20程度と言われており、3−4種目を各種目3セットで週に2回鍛えるとすると18−24セットとなります。
初心者の場合は1週間に10セット程度で十分ですが、レベルが上がってくると筋肉の成長が鈍化していきます。そうなった時に負荷を高めるための手段として種目数を増やすというのが一般的です。
また、トップのボディビルダーになってくると5分割で1日に20セット以上こなす人もいます。適切なセット数、種目数は人によって異なるので、自身の身体の変化を見ながら調節していきましょう。
各部位どんな種目をやればいいかわからない方は下記の記事を参考にしてみてください。
セットの組み方
どの分割法にするのかを決め、種目もある程度決めると、各種目をどれくらいの強度で、何回行い、インターバルはどれくらい取るかを考えなければなりません。
これも何となく決めるのではなく、目的に応じて判断する必要があります。一般的に筋力アップ、筋肥大、筋持久力アップと3つの目的ごとの組み方は下記のようになっています。
※1RMとは1回しか挙げられない重量で、そのうちの何割の重量が適切であるのかを示しています。
目的 | 1RM | レップ数 | セット数 | インターバル |
筋力アップ | 80%以上 | 6回以下 | 3 | 2−5分 |
筋肥大 | 67−85% | 6−12回 | 30−90秒 | |
筋持久力アップ | 70%以下 | 15回以上 | 30秒以下 |
詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
自身に合った分割法で筋肉の成長を追い求めよう
今回は分割法の概要や具体的な部位分けや、休みの入れ方などを紹介してきました。分割法は対象の部位を休ませながら、他の部位を鍛えることで効率的に筋肥大を目指す手法です。
2分割から5分割までありますが、トレーニングレベルが上がるにつれて分割を増やしていくのがおすすめです。ただし、5分割までいくと各部位のトレーニングが週に1回となってしまい、超上級者でないと難しいです。
基本的には初心者は全身法から3分割、中級者以上は3−4分割を組むようにして、自身の身体を見ながらメニューを組んでいきましょう。