サッカーのテクニックを向上させるには、「リフティングがとても効果的だ」ということを聞いたことがある人は多いと思います。
実際に、サッカーが上手な人はリフティングが得意な人がとても多いです。
一流のプロサッカー選手は、足にボールがくっついているかのごとく、簡単にリフティングをやってみせます。
サッカー初心者の人からしてみれば、リフティングはとても難しいものに見えますよね。しかし、コツを覚えてしっかり練習を積めば誰でもできるようになります。
本記事では、日本サッカー協会公認の現役コーチがリフティングをするにあたって、重要なポイントを詳しく解説していきます。
目次
1.リフティングとは
そもそもリフティングとは、足、太もも、頭など、手以外の体の部位を使ってボールを地面におとさないようにする技術のことを指します。サッカーを習ったことがある人なら、誰でもやったことがある定番のボールコントロールです。地面に落としてはいけないというプレッシャーの中でボールを上げ続けなければならないため、自由自在にボールを扱う力が身につきます。
J1リーグ横浜FC所属(2021年7月現在)で元日本代表のテクニシャン、中村俊輔選手もインタビューでリフティングの大切さを語っていました。リフティングは、一流選手も必ず通ってきた練習方法で、サッカーに必要な要素が多く含まれている技術です。
2.リフティングの効果
リフティングで得られる主な効果は2つ。
- ボールミート力が向上する。
- ボディコントロールが上手になる。
リフティングが上手にできることはとても良いことですが、結局はサッカーで良いプレーをすることが目標ですよね。
そこで、リフティングがサッカーのプレーにどのような効果をもたらすのかを、丁寧に解説していきます。
ボールミート力が向上する
リフティングの練習で得られる効果1つ目は、ボールミート力が向上することです。
ボールを地面に落とさずリフティングを続けるには、ボールの中心を毎回捉えることが重要。リフティングでボールの中心を捉える感覚が養なわれると、サッカー中のボールミート力が自然と向上します。
ボールミート力が向上すれば、たとえパワーが弱い選手でも強いシュートが打てたり鋭いパスが出せたりするようになります。リフティングでボールの中心を捉える感覚をつかみ、ボールミート力を向上させましょう。
ボディコントロールが上手になる
リフティングの練習で得られる効果2つ目は、ボディコントロールが上手になること。
リフティングは、ボールコントロールの技術を向上させるためだけの練習と思われがちですが、実はサッカーに必要な身体の動かし方を身につけることができます。
リフティング中は、片足立ちの状態が長く続くため、常に軸足でバランスを取ることが求められます。この片足立ちの状態こそ、サッカーのキックやドリブルをするときに必要な姿勢そのものです。リフティングを続けて軸足でバランスを取る感覚が養えれば、相手の意表をついたドリブルや安定したキックができるようになります。リフティングを通じて、サッカーに必要なボディコントロールも身につけましょう。
3.リフティングのコツ
「リフティングがサッカーに重要なことはよく分かったけど、どうすればリフティングが上手にできるの?」という方に向けて、リフティングのコツを詳しく解説していきます。
厳選したリフティングのコツが次の5つ。
- 膝を伸ばす
- 足首を柔らかく使う
- つま先の向きに注意する
- ボールの真下かつ中心を捉える
- ボールの回転を意識する
最初から全ての内容をおさえることは大変なので、意識できそうなコツから実践してみましょう。ここで紹介するコツが感覚として掴めるようになれば、リフティングの上達は格段に早くなります。
膝を伸ばす
リフティングのコツ1つ目は、膝を伸ばすことです。膝を伸ばすことを意識するのは、ボールが足に触れる瞬間です。リフティングしている間は、常に膝を伸ばし続けるという意味ではないので注意しましょう。
リフティング初心者の方は膝の使い方が不慣れであり、膝が曲がった状態でボールを蹴り上げてしまうことがよくあります。しかし、膝が曲がった状態でボールを蹴ると、ボールの面を捉えづらくなり、不規則な回転がかかったり左右に飛んでいってしまったりします。
ボールに足が当たる瞬間は、膝を伸ばすことを意識してボールの面をしっかりと捉えましょう。
足首を柔らかく使う
リフティングのコツ2つ目は、足首を柔らかく使うこと。足首に力が入ってしまうと、足全体が棒のようになり、ボールに対する反発力が大きくなってしまいます。足首をリラックスさせて、ボールタッチすることが理想的です。
これだけでは少し分かりづらいので、布団に向かってボールを投げ込むことを想像してみてください。投げたボールは柔らかい布団に吸収されるため、跳ね返りは少ないですよね。ボールが布団に吸収されるイメージと同じように、リフティングはボールの跳ね返りを少なくすることが重要です。足首を柔らかく使い、足全体をリラックスさせた状態でリフティングをしましょう。
つま先の向きに注意する
リフティングのコツ3つ目は、つま先の向きに注意することです。つま先の向きは、ボールが飛んでいく方向を大きく左右しています。
つま先が上に向きすぎていると、ボールは自分がいる方向に返ってきてしまい、下に向けすぎると自分とは逆方向に飛んでいってしまいます。
そのため、つま先は上に向けすぎても、下に向けすぎてもリフティングが上手くいきません。
具体的には、地面に対して足が平行もしくは20°ほど反るつま先の向きでリフティングすることをおすすめします。ボールを安定して真上に上げることができるつま先の角度をリフティング中に見つけていきましょう。
ボールの真下かつ中心を捉える
リフティングのコツ4つ目は、ボールの真下かつ中心を捉えることです。ボールは蹴りたい方向の反対側から蹴り出すと、まっすぐ飛んでいく性質があります。リフティングでは、ボールは真上に上げ続けたいため、ボールの真下を捉えることを意識しましょう。
また、ボールの中心を捉えることも忘れてはいけません。いくらボールの真下を捉えられていても、ボールの右側や左側を蹴ってしまうと、左右にボールは飛んでいってしまいます。ボールを良く見て、真下かつ中心を正確に捉えられるようになりましょう。
ボールの回転を意識する
リフティングのコツ5つ目は、ボールの回転を意識することです。リフティング中のボールの回転は、無回転もしくはバックスピンのかかった縦回転が理想的です。
無回転やバックスピンといった理想的なボールの回転は、これまで紹介したコツを一つ一つ実践できていれば自然と実現できるものです。
そのため、ボールの回転はコツというよりも正しくリフティングができているかどうかの指標になります。
ボールに不規則な回転がかかっている場合は、これまでに紹介したコツのどれかが抜け落ちている可能性があるので、もう一度確認してみましょう。
4.リフティングの練習方法
リフティングの効果やコツが分かったところで、実際の練習方法を紹介します。
紹介するリフティングの練習は、こちらの3つ。
〈難易度☆〉 ワンバウンドリフティング
〈難易度☆☆〉 ノーバウンドリフティング
〈難易度☆☆☆〉 小さいボールでリフティング【上級編】
難易度順に並べてあるこちらの3つの練習方法を詳しく解説していきます。
その前に伝えておきたいことは、リフティングが上手になるために特別な練習は存在しないということ。回数を何度もこなして、上達していく以外に方法はありません。
目標回数を立てて努力したり、ライバルと競い合ったりして技術を磨いていきましょう。
ワンバウンドリフティング
最初に紹介するリフティングの練習方法は、ワンバウンドリフティングです。
通常のリフティングはボールを地面に一度も落とさないようにする技術ですが、ワンバウンドリフティングは1回蹴るたびに、ボールを地面にワンバウンドさせてリフティングを続ける方法です。
通常のリフティングがまだ10回もできないというリフティング初心者の方にオススメの練習方法です。
- ボールを手に持った状態から地面にワンバウンドさせる。
- ワンバウンドしたボールをタッチする。
- タッチしたボールがもう一度バウンドしたら、再びタッチする。
最初にボールタッチをしてから次のタッチをするまでに準備の時間をかけられるので、初心者の方でも取り組みやすいです。
ワンバウンドリフティングでも回数が続かないという方は、数回タッチしたら手でボールをキャッチするという練習方法を実践することをおすすめします。
少しずつでいいので、手でキャッチしなくてもリフティングが継続できる回数を増やしていきましょう。
ノーバウンドリフティング
次に紹介する練習方法は、ノーバウンドリフティング。ワンバウンドリフティングは安定して何回でもできるよという方は、ノーバウンドリフティングに挑戦しましょう。
ノーバウンドリフティングとは、いわゆる通常のリフティングのこと。手以外の身体の部位を使ってボールを落とさないようにする技術です。
- 手に持った状態から、ボールを上げる。
- 地面に着く前にボールをタッチする。
- 2のボールをノーバウンドで再びタッチする。※2.3の流れを繰り返す。
ノーバウンドリフティングの回数目標は、ひとまず100回に設定して練習に励みましょう。
リフティングが100回できるということは、十分に技術が身についたことの証拠になります。
その頃には、サッカーをしていても以前よりキックやパスが上手になっていることを実感できているはずです。
また、ノーバウンドリフティングをするときは、できるだけ両足を使ったり、足以外の部位でボールをタッチしたりすることが重要です。
利き足以外でボールをタッチする感覚が養われるため、試合中のプレーの幅がより一層広がります。
小さいボールでリフティング【上級者向け】
次に紹介するのは、小さいボールでリフティングの練習をする方法です。具体的には、リフティングボールやテニスボールを使ってリフティングをしていきます。
特に、テニスボールリフティングは、神の子と呼ばれたマラドーナ選手をはじめ、多くの一流サッカー選手が実践していた練習方法です。
ノーバウンドリフティングが100回以上安定してできるようになった人はぜひチャレンジしてみましょう。
ボールの種類と直径 | |
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ボールの種類 | 直径 |
サッカーボール(5号球) | 22cm |
リフティングボール | 10〜15cm |
テニスボール | 6.54〜6.86cm |
サッカーボールよりも小さい球体でリフティングをすると、ボールの中心を捉える力が格段に向上します。
リフティングボールやテニスボールでリフティングができるようになれば、サッカーボールの中心を捉えることが簡単になります。
小さいボールでリフティングを極めて一流のボールタッチを身につけましょう。
5.リフティングを極めてサッカーの技術を向上させよう
ここまでで、リフティングのコツや練習方法を詳しく紹介してきました。リフティングが上達するための一番の秘訣はとにかく継続すること。
1日にまとめて何時間も練習するより、少しの時間でも毎日練習する方が高い効果を得られます。10分〜15分でもいいので毎日練習を継続し、リフティングを極めていきましょう。
最後に、リフティングの究極の目的は何だったかを、もう一度思い出してみてください。
それは、サッカーの技術を向上させることです。サッカーに必要な要素が多く含まれているリフティングは、必ず技術向上に役立ちます。
しかし、リフティングのためのリフティング練習ではなく、「強いシュートが打てるようになりたい」「鋭いパスを味方に出せるようになりたい」といった最終的な目標を達するために、リフティングをおこないましょう。